0021.耳鼻科
重い病気をしたことはないが、なにかと医者にはかかる。
その耳鼻科はむかし風のつくりの民家で、靴を脱いで上ると板張りの床だった。やせた老人の先生で、頭には反射板というのか丸い光るあれをつけた、聴診器と白衣の、ほんとうに医者という感じの人だった。
鼻炎もちのわたしは、しばらくここに通って、ノズルを鼻につっこんで蒸気になった有効成分を吸入するという治療を受けた。
効果があったのか、なかったのか。小学生のころの話だ。
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じいさんがな、孫つれて、女の子や、居酒屋に入ってきた。一杯飲み屋という感じのつき出しもない気楽な店や。
常連と見えて、店員とあいさつしてる。ほいで、いつものあれあれ、っちゅうかんじでビールと熱燗いっしょに頼んでた。