0001.カーブ式

 京阪電車をあつかった文章を読むと、たいがい”京阪電鉄カーブ式会社”といわれるほど、カーブが多かった(そしていまも多い)、というような一節にお目にかかる。
 たしかに京阪の線路にはカーブが多い。好んでカーブ上に駅をつくっているのかとおもうほどホームが曲線を描く駅がたくさんある。光善寺はとくにすごい。
 ”カーブ式会社”などというアダナがほんとうにあったのかということである。
 もっともらしい逸話がひとつ入ると、その文章の格がぐっと高まる気がする。そういうもっともらしさは疑いの目で見なければならない。と柳田国男がいっていたような気がする。
 京阪電車の概要といった文章以外で目にした事はないし、だれかがそれを口にするのは、いちども聞いたことがない。

 家計簿はなにを買ったかより、どこでいくら使ったかを付けたほうが、シンプルで有用なデータが得られるとおもう。
 それでつけてみると、近所のコンビニでだらだら酒買うたりするのが多いねん。それでやめてもた。どっちをやめたん。家計簿つけるのん。それがええわ。

 夜は落語を聞くことがある。ハードディスクにたくさん入っている。米朝を聞くことがほとんどだ。音声だけで聞くなら米朝がいちばんいい。
 ながいこと京阪の沿線に住んでいる。実家はいちど引っ越して、家を出てからはいまで5軒目だが、2軒は線路が近くて電車の通る音が聞こえた。
 すべての電車の通過する音が聞こえるわけではない。聞く耳をもったときだけ聞えるらしい。夏のある夜、米朝の百年目を聞いていたら、電車の走る音が聞えてきたのをふしぎにおぼえている。

 

0002.ダッサイ