0004.クリーニング屋
わたしみたいなもんでもな、午前中は今日こそは飲まんとことおもうん。そやけど、昼すぎると今日はなにを飲むか、どこで飲むかという算段や。夕方なったらもうノドの用意はできてますね。あとはビール注ぐだけ。
強いことはないんだ。一杯目なんか、ふらーっとくる。それすぎると、あとはいける。いや、いけん日もありますけど。
だいぶ飲むとようやく酔ってくる。いっかい上がって、おちついてまた上がる。手間なことやわ。一杯二杯で置いとけたらええんやけどね。寝るまで飲んでまう。しょうもないこっちゃわ。
あんた飲みなはる。酒はなんも解決せん。
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ビルごと壊すらしくて、クリーニング屋が閉店した。閉店したあとでも、服がたくさん残っている。だいじな服ならすぐに引き取りに来るだろうから、もう忘れられているような服かもしれない。
服を預けるときに、なにか取り決めのようなものがあるはずだ。ある期間が過ぎたら服は処分していいというような。
その期限がくるまで閉じた店に服たちがじっと引取りを待っている。