39. 続々カーブ式 リプライズ

 その夜も酔い、米朝の落語を聞きながら寝た。
 朝起きると、米朝が亡くなっていた。
 酔って阿弥陀池を聞きながら眠りについたころ、彼はすでにこの世の人ではなかったのだ。

 中学のころ、日曜の夜だったか、ラジオで米朝の落語を流す番組があった。この番組をテープに録音し、くりかえし聞いた。
 同じころ、テレビでも米朝の落語をやっていたが、なぜか雑音まじりのAMラジオで聞くほうが、しっくりきた。
 さみしいものです。
 「不易と流行」という彼の文章から。 
 「私の危機感は一向に去らないけれども、絶望はしていない」
 ・・
 おおいなるカーブを曲がり終えた京阪電車は、貨物線をアンダーパスするために、いっしゅん地上に降りる。そこからは例外的な直線区間で、堂々たる複々線だ。
 そのアンダーパスをすぎてすぐのあたりに、線路をまたぐ歩道橋があったように思うのだが。

 

38.犬のはなし