0007.ミックスベジタブル
どうやら環状線をどこでくぐるか、最短ルートを見つけたようだ。生麩屋のところを曲がると陰気なアンダーパスに出る。夜はあまり通りたくない。
そこからさきはまた斜めの迷路でまだ謎が多いが、3階建ての文化住宅を見つけたのは収穫だ。しかし、郵便受けはガムテープでおおかたふさいであって、そのうち取り壊すのだろう。
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そのバーはいつ行ってもモニターにローマの休日が流れている。その店はひとりで行くことはない。さいしょ様子を見にひとりではいって以来、ひとりでは行っていない。ほんとうの名前はややこしくて、なんど聞いてもおぼえられないので、ヘップバーンの店と呼んでいる。
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前後をすっかり忘れてしまっているのに、食べものの場面だけをおぼえていることがある。
胃腸が強いほうではないが、食べものにはなにか執着があるらしい。
ルパン3世で、ゴエモンはカップそば、ジゲンはミックスベジタブルを食べている。ルパンは、そういうわびしい食事をいやがっていたようにおもう。これは冒頭の場面だった。その後はなにもおぼえていない。ミックスベジタブルを皿に盛ってフォークで食べる姿はかなりの衝撃だった。そういえば、まだそれをしたことはない。今度してみる。