0008.カンビ
藤山カンビといっても古い話だが、むかしは新喜劇といえば松竹と吉本のふたつあった。その松竹のほうは人情もので子どものわたしには、あまり値打ちがわからなかった。
なんのはなしか忘れたが、これは最後に近い場面で、カンビがヒロインにお腹が空いてないかとたずねる。それで焼き飯をつくることにして、カンビは塩とケチャップどっちがええ、とヒロインに質す。これでただすと読むのか。
ヒロイン「ケチャップ」。カンビ「ケチャップないねん」。そしてさざ波のような笑い。
カンビが亡くなった日はよくおぼえている。わたしは、いつものように週末を祖父母のところですごしていたら、夜のニュースでカンビの訃報が流れた。ふだん芸能などになんの言及もしない祖父母が、カンビが死んだか、と感慨深げだったのをいまでもおぼえている。
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芸人であっても画家であっても生物学者であってもかまわない。とにかく名前がたくさん出てくるのが好きだ。名前の海に漂いたい。
ビーチボーイズと出会ったのはワコーデンキだった。合法なのかイリーガルなのか、すれすれのところの廉価盤がワゴンに並んで売られていた。はじめに買ったのはカーペンターズで次がS&Gでビーチボーイズだったとおもう。Sufin' Safari がサーフン・サファリと誤植されていた。
そのころ増刊号ではワコーデンキのCMがながれていた。