0010.土手、高架

 新喜劇を見終わって重い腰をあげても神戸にいけるから大阪はいいところだ。
 環状線は京橋から桜ノ宮の間の低い土手を通る区間が intimate でいい。
 ソネザキ警察のところから地下に入るとすぐに阪急へいく人と阪神にいく人の流れが交わる。どちらかというと阪神を使うことが多い。
 線路が地下から地上に顔を出す界隈にはひとつの情趣がある。阪神なら福島を通過した特急が曲線を描きながら一気に高架へあがっていく。そのとき右手に見える遠心分離機工場の看板がいい。
 阪神の急行はほとんど野田に止まるか止まらないかだけの問題を扱っている専門家だ。校庭ののぼり棒に両手でぶら下がる子どもがオランウータンにしかみえない。
 そのうち神崎川をこえて景色が大阪から阪神間にうつっていく。

 

0009.唐傘 0011.船渡御